■ 不定期ではありますが当店の製パン、製菓等について記したいと思います。
随分前から一度はお便りなどで皆さんにお知らせしたいなと思っていた事なのですが、今現在本当に多くの食品に『砂糖』が使用されているなぁと感じています。砂糖の種類はあまり問題ではなく、それが上白糖だろうと洗双糖だろうとメイプルシロップ、てんさい糖、米飴など様々な種類の糖分が様々な食品に使われています。食品だけではなく、料理などにも多く使われています。(例えば、ソース、サラダのドレッシングなどの形となって。)実は先日ある人気レストランにランチを食べに行きました。偶々キッチンの見えるカウンター席に案内されたので、職業病というか厨房の様子を見ながら食事をしました。そこで出されていたキャベツのコールスローは冷蔵庫に酢漬けにされた状態で保存されていて、予め用意されていた小皿のサラダが無くなってくるとスタッフが次の小皿に盛りつけておき、どんどん仕事が流れていくという感じでした。『酢漬けにすると日持ちもするし悪くない方法だね。』と幸子さんと話をして、うちに帰ってきて幸子さんが早速試作をして見ました。けれど、あのお店の味は出せない。。。何が足りないかと言うと『砂糖』であったと思われます。その試作の段階でも幸子さんはそれなりの量の砂糖を使用していました。けれども、未だ足りない。。。それ以上の砂糖を使うのならその方法は止めようという結論に達しました。砂糖を沢山使うと、誰が食べても美味しい → 『でもそのようなものはMeistersBackstubeのランチでは出したくないね。』という話になりました。
僕自身、パン・焼き菓子を作る上で糖分は出来るだけ少なく使おうという事に決めています。使用しないという訳では決してないです。でも、必要最低限で。ナゼか??糖分は摂り過ぎていいものでは決してなく、そして『常用性』があります。砂糖の使われている食品で、まず不味いものはありません。(Stollenって、どこのも“それなり”じゃあないですか?)砂糖の使用されているものは『もう1個』、そして『もう一度』食べたくなります。砂糖の使用し過ぎで甘ったるく不味いものはありますが、適量で有れば不味くはならず、保存性も向上され、パンで云えば“もちもち”の“ふっくらした”パンが焼けます。食パン、レーズン食パンなどでいつも考えている事なのですが、砂糖を使用すればもう少し日持ちのする、翌日でも硬くならず、酸味の少ないパンが焼けるけど。。。と実は葛藤しています。少量は使用すべきか?それとも今のままで??特に食パンは、よく『日にちが経つと酸っぱいね。』と言われます。でも、それは砂糖などを使用することにより改善されるのです。僕自身は食パンに砂糖は使用したくない。。。〈他のお店の事を悪く書くのはあまり好きではないのですが〉今は、材料にこだわった天然酵母のパン屋さんでも、パンに焼き菓子に多くの砂糖を使っているところが増えてきています。本当にそれでいいのか??実は、いつも自問自答しています。
結論からいうと、僕はこれからもパン・焼き菓子には最低限の砂糖を使用して次の日には硬くなってしまう、酸味が出てきてしまうパンを焼いていくと思います。色々な本を参考にしながらその酸味が少なくなるように、次の日でもあまり硬くならないパンをと改善はして行こうとは思うのですが、でも基本的には必要ない砂糖は使わずに。。。
そんなことを皆さんにお伝えできたらと思いました。(『砂糖に常用性がある』という考えは、僕が柿沼さん、中久木さんから薦められて20代の頃に読んだ『シュガーブルース』という本からの考えです。かなりの極論ですが、『砂糖は麻薬と同じで常用性がある』と書かれていたのを今でも鮮明に覚えています。砂糖を断つのって、相当難しいと思いませんか??)2016年7月にMeistersBackstubeは10周年を迎えます。多くの方にこれからも良いものを届けられるよう頑張っていきたいなと思っています。宜しくお願い致します。
2016年1月 製パン、製菓マイスター
柿沼 理
新店舗の情報になります。
住所 : 名古屋市千種区桜が丘58 (淑徳大学の近く、そして東山通り沿いのENEOS〜オレンジ色のセルフガソリンスタンドの直ぐ近くになり、店舗は東山通りからは1本中に入ります。詳しくは『お便り』の裏の地図などをご覧ください。)
営業時間 9:30‐18:30 電話番号(052)781‐3353 定休日:木曜日は変更ありませんが、月に一度日曜日をお休みにすることも考えています。(僕自身少し休まなければ。。。)
8月21日(水)〜10日間ほどお店を閉めて、現店舗から新店舗へ機材等を搬入します。新店舗での準備が出来次第、パンを焼き始め、SonneGarten、ポランの広場等の卸し先、そして新店舗にて販売を再開致します。(プレオープン9月〜の予定です。)そして、このプレオープンの期間を経て〜その間に準備を更に整え〜9月7日(土)8日(日)でパン、焼き菓子が10%OFFになる『リニューアルOPENセール』を開催する予定です。是非お楽しみに!皆さんのお越しをお待ちしております。(当初予定しておりましたCafeスペースですが、準備が十分に整っていない可能性があるので、リニューアルOPEN時には無理をせずにお買い上げ頂いたパン、お飲み物を店内で食べて、飲んで頂く形を取りたいと思います。秋頃に準備が整い次第、Cafeスペースとしてスープ、紅茶、コーヒーなどがお楽しみ頂けるよう準備を進めて参ります。よろしくお願い致します。)
さて、約半年間の準備期間を経て、そしてみなさんからの沢山のお声掛け、お力添えを頂き(ありがとうございます!)、いよいよ『新店舗』が動き始めます!お楽しみに!さぁ、ここから8月末の移転までは『追い込み』です!さらに忙しい!!!
2013年7月 製パン、製菓マイスター
柿沼 理
MyBag。最近では多くの方が持ち歩くようになってきました。ですが、まだ日本ではパック入りのお菓子がさらにひとつひとつパックされていたり、ちょっとの買い物で手提げの袋に入れてもらえたり過剰包装が目立つと思います。
Backstubeでも、プラスチック袋よりは環境によいとの考えから、紙袋を使ってはいるのですが、やはりもっと多くの方にMyBagを持参いただき、紙袋の使用数を(ゴミを)減らせればと思っています。
ドイツではレジ袋は全て有料です。しかもかなり高い。毎回買物の度にレジ袋を買うなら、エコなMyBagへ。これは自然の流れです。
飲み物も、ビン代、缶代を払って購入。それも結構高い。ので捨てたりできず飲んだらお店に返す。=ごみが減る。お菓子も、ひとつひとつ包装してありません。パックを開けたら湿気る前にすぐ食べる!のです。物資の循環が良くなる=景気向上に少し役立つ?!ほんとかな?! とても単純な考えでいろいろなエコ循環が成り立っています。日本もそんな風になればいいのにと思っているのですが“なかなか“ですね。。。
2008年9月 製パン、製菓マイスター
柿沼 理
店頭でよく聞かれるこの質問にお答えしようと思います。(両方ともがくるみとレーズン入りのパンなので本当によく聞かれる質問のひとつです。)
パン・オ・ ノア | レーズン種使用の40%完全粉が入ったずっしり重たいパン。"パン通"な方がよく買われているような気がします。とても硬いパンなので、“凶器にもなる“なんていう方もいます。切る時にはナイフを滑らせて指を切ったりしないよう注意が必要です。(笑) |
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カンパーニュ・ノア | カンパーニュ種を使用し、完全粉とライ麦粉が合わせて15%程入った“天然酵母パン初心者”の方でも美味しく食べて頂けるパンです。完全粉とライ麦粉の割合がパン・オ・ノアより少ないので、どちらかというと“ふっくら、もっちり”パンです。 |
2つともが定番商品で毎日作っているのですが、どちらのパンにもファンがいて、焼かない日はない、焼かない月はないという人気のパン2種類です。未だ食べた事のない方、まずはカンパーニュ・ノアから試してみては如何でしょうか?そして、"パン通"になった暁きにはパン・オ・ノアとワインでディナーなんてのどうですか??(指はくれぐれも切らないように!)
2008年1月 製パン、製菓マイスター
柿沼 理
お店に来られるお客様で、“朝10時の開店時に全てのパンが揃っていない。”“朝11時に行ったけどパンが無かった・・・”と言われる方がいます。これは、Meisters Backstubeでは他のパン屋さんがよく使っている冷凍冷蔵生地は使っておらず、前日からひと晩発酵させておいた4-5種類の種を使って朝5時から丹念に生地を作り始め、じっくり発酵を取り、その日の内にパンを焼いているからなのです。(クロワッサンやパイの様な折り込み生地は例外ですが・・・。)ひとつのパン生地を捏ね始めてからそのパンが焼き上がるまでに5−6時間掛かり、最初のパンは9時頃から焼き上がり始め、全てのパンが揃うのはどうしてもお昼近くになってしまいます。
という理由からMeistersBackstubeでは開店時には4-5種類のパンしか店頭に並べることが出来ません。また冷凍、冷蔵生地を使用していないことから、前日の種の仕込みの時に決めたパンの量は減らすことは可能であっても、増やすことは不可能なのです。夕方にパンを買いに来られたお客様で、“パンが少なかった”ということを体験された方もいるかと思われます。それはこういった、その日作った生地はその日に焼くという信念があるからなのです。申し訳無くは思ってはおりますが、どうしても“いつ作られたか分からない冷凍、冷蔵生地”には抵抗があります。
2006年9月吉日 製パン、製菓マイスター
柿沼 理
冷凍、冷蔵生地とは、前日に(もしくは2-3日分の)パン生地を仕込み成形して冷凍、冷蔵し、夜のうちに最終発酵を取った生地を朝早くに焼くという製法です。成形された生地が冷凍、冷蔵されているので、いつでもそれを解凍、そして最終発酵を行うことが出来ることから、朝から沢山のパンを焼くことが可能ですし、いつでも焼き立てを供給できるという利点があります。
Meisterかきぬまs Backstubeのパンは、全て丹念に育てられた自家製天然酵母でゆっくりと時間を掛けて発酵を取り、最終段階では輻射熱で焼くという昔ながらの製法で焼くことのできる石窯を使って作られています。
1−3日目 | レーズン液を作る |
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4日目 | レーズン液を使用して4種類の種を作る |
5日目 | 早朝5時から種を使い生地を作り、4−6時間掛けてその日に売るパンを石窯で焼く。 |
という様に酵母を作り始めてからパンが焼けるまで実に最低5日間という時間が必要です。
使用する酵母はオーガニックレーズンから取った酵母。このレーズン液を丹念に育て、レーズン種、ハード種、ブリオッシュ種、カンパーニュ種といった4種類の種をつくりそれぞれを適した生地に使用することによって毎日様々なパンが作られています。(このレーズン液は10年程前から使われいるものを継いでいます。)
また、それとは別にドイツより直輸入したBackferment(バックフェルメント)を使用して作ったバック種というものも使用しています。(これも使用可能になるまで3日程掛かります。)
簡易天然酵母などは使用せずに、4−5日掛かって作られた自家製天然酵母を100%使用している為、イースト菌の繁殖と共にパンを焼く為に本来は必要でない雑菌も繁殖してしまい、また砂糖やバター、牛乳などを使用していないパンが多い為、プレーンなパンなどはどうしても酸味が出てしまうことがあります。(酸味は大量の砂糖を生地や種に使用することにより抑えることが可能です。)また、自家製酵母は暑さや寒さといった気候に左右されやすく、ある日はパンが大きかったり、ある日は小さかったりと製品が一定しないこともあります。
その一定するのが難しい製品を出来るだけ一定に、またじっくりと時間を掛けて作られた自家製天然酵母を使用しつつも酸味の少ないパンを作ろうと工房スタッフと共に日々努力する毎日です。
天然酵母と国内産小麦を使用して石窯でパンを焼くというのは本当に難しく気の抜けない作業の繰り返しですが、それゆえに他店にはないMeisterかきぬまsBackstubeのパンが焼けるのだと考えています。是非、一度お試し下さい。
2006年7月吉日 製パン、製菓マイスター
柿沼 理